グルテンフリー生活に興味を抱いたら、まず「グルテン」とは何かを理解することが重要です。グルテンは、小麦などの穀物に含まれるたんぱく質で、パンやパスタ、うどんなどの食材に多く含まれます。食物アレルギーやセリアック病などの疾患を持つ人々は、健康のためにグルテンフリーの食事を選ぶ必要があります。

しかし、グルテンを含まない食生活を送るには、食材選びから調理方法、さらには生活習慣全体の見直しが必要です。

1:グルテンフリー生活で控えた方がいいもの

はじめに、グルテンフリーの生活を送るうえで避けるべきものをお伝えします。

  • 1-1:パンやパスタ、うどんなどの小麦食材
  • 1-2:小麦を含む調味料
  • 1-3:化粧品

1-1:パンやパスタ、うどんなどの小麦食材

パンやパスタ、うどんなどの小麦を使った食材は、粘り気とコシのもとになるグルテンを豊富に含んでいます。

パンに含まれるグルテンは、小麦粉・水・酵母を混ぜ合わせて発酵させ、焼き上げるプロセスで形成されます。パンにやわらかさやボリュームをもたらすことが、グルテンの役割です。

パスタも、小麦粉と水を混ぜて作られます。パスタによく使用されるデュラム小麦は、グルテン含有率がとくに高いことで知られています。

うどんも小麦粉を主原料としており、そのもちもちとした食感はグルテンによるものです。

さらにケーキやビスケットなどの菓子類も、その膨らみと形状を保つために小麦粉に含まれるグルテンを利用しています。

これらは、グルテンフリー生活を始める際に避けるべき食材です。しかし、最近ではグルテンフリーのパンやパスタ、菓子類が増えて、選択肢が広がりつつあります。ただし、「グルテンフリー」と表示されている商品も、原材料などを見てグルテンが含まれていないことを必ず確認しましょう。

1-2:小麦を含む調味料

調味料には、グルテンが含まれていることがあります。グルテンには粘り気があるため、増粘剤として一部の調味料に使われているのです。

多くのソースやドレッシングには、グルテンを含む小麦が添加されています。小麦を加えるのは、製品の風味を深め、テクスチャーを均一に保つためです。特にウスターソースやしょうゆ、照り焼きのたれなどは、ほとんどの商品が小麦を含んでいます。

スープやブイヨン、インスタントラーメンのスープも、グルテンを含む小麦が使われている可能性があります。これらの商品に小麦を添加するのは、風味をよくして味わいに厚みを与えることが目的です。

さらに、グルテンはハムやソーセージといった一部の加工肉や、ベジタリアンやビーガン向けに製造されている植物性代替肉にも使用されることがあります。最近はグルテンフリーの調味料も増えていますが、これらの商品を購入する際には、必ず原材料を確認してください。

1-3:化粧品

食品だけでなく、化粧品にもグルテンが含まれていることがあります。特に、リップクリームやリップスティック、ファンデーションなど、皮膚に直接触れる製品には注意が必要です。

化粧品中のグルテンは、保湿剤や安定剤として機能し、肌になめらかさと弾力を与える役割を果たします。

リップクリームやリップスティックでは、なめらかな使い心地や落ちにくさを求めて、小麦由来の成分を使用することが多くあります。

ファンデーションに小麦由来の成分を使用するのは、製品の均一性を保ち、よりなめらかな仕上がりを提供するためです。また一部の製品には、小麦由来のビタミンEが配合されています。ビタミンEは強力な抗酸化剤としてはたらき、製品の鮮度を保つ役割を果たします。

ボディローションやシャンプー、コンディショナーにも小麦由来の成分が含まれる可能性があるため、注意しましょう。

ただし、小麦由来の成分を含む化粧品を肌に直接塗布しても、小麦成分は皮膚からは簡単に吸収されないという考え方もあります。そのため一部の専門家は、小麦を含む化粧品が必ずしも問題になるわけではないと指摘しています。しかし、グルテンに対する感受性が高い方や、口に入る可能性があるリップクリームやリップスティックなどを購入する際は、グルテンフリーのものを選ぶと安心でしょう。

小麦アレルギーと化粧品の関係性については「小麦アレルギーの人は化粧品にも要注意!注意するべきは加水分解コムギ?」で解説しています。あわせて読んでみてください。

2:グルテンフリー食材の見分け方

グルテンフリーの食材を見分けるための、基本的なポイントをお伝えします。

  • 2-1:グルテンフリー認証マーク
  • 2-2:食品表示の確認

2-1:グルテンフリー認証マーク

グルテンフリー認証マークが商品に表示されている場合、その商品はほとんど、あるいはまったくグルテンを含まないことを示しています。

グルテン過敏症やセリアック病などの消化器系の疾患を抱える人々がグルテンを摂取すると、体に害を及ぼすことがあります。グルテンフリー認証マークを持つ商品は、グルテンを含まないことが保証されているため、これらの人々にとって安心できる選択肢となるでしょう。

グルテンフリー認証マークは、製品が一定の基準を満たしていることを示します。例えば、製造工程におけるクロスコンタミネーション(ほかの製品との混ざり合い)がないことや、厳格な検査基準を通過していることなどが確認できます。

したがって、グルテンフリー認証マークは、グルテンに敏感な人々が安心できる商品を見つける貴重な手がかりになるでしょう。

2-2:食品表示の確認

食品の購入時には、成分表示を必ず確認しましょう。とくに、小麦、ライ麦、大麦などグルテンを含む穀物が使用されているかどうかを確認することが重要です。

食品表示を確認する際には、以下の点に注意してください。

  • 穀物の種類:小麦、ライ麦、大麦などグルテンを含む可能性のある穀物が記載されているかをチェックしましょう。
  • アレルゲン表示:小麦を原材料に使用している製品は、アレルギー物質を含んでいることを明示する必要があります。食物アレルギーを持つ場合は、この表示をよく確認しましょう。
  • 製品の製造過程:小麦やグルテンを含むほかの製品と同じ環境で製造された場合、製品にその旨が記載されていることがあります。

これらの情報が記されていない場合や不明確な表示がある場合は、メーカーや販売業者に問い合わせることをおすすめします。自身の健康を守るために、食品の成分表示をしっかりと確認しましょう。

3:グルテンフリー生活中に食べられる食材

次に、食べてもグルテンフリー生活に影響しない、おすすめの食材をいくつか紹介します。

  • 3-1:小麦を含まない食材
  • 3-2:米粉を使った食材
  • 3-3:蕎麦粉を使った食材
  • 3-4:グルテンフリー食材

3-1:小麦を含まない食材

日本の伝統的な食材は、ほとんどがグルテンフリーです。米、魚、肉、豆類、野菜、果物などが該当します。これらの食材を基本にして、バランスのよい食事を心掛けましょう。

日本料理には、グルテンフリーの選択肢が豊富にあります。主食は、小麦ではなく米です。刺身や焼き魚にして食べられる魚介類や、煮物などの肉料理、さらに豆腐や納豆のような大豆製品もグルテンフリーです。

和食の味噌汁や煮物には、季節の野菜が欠かせません。野菜は風味豊かで栄養価も高く、グルテンフリーの代表的な食材です。

日本の伝統的な食材の多くはグルテンフリーであるため、さまざまな料理に活用すれば、おいしさと健康を両立できるでしょう。

3-2:米粉を使った食材

米粉を使ったパンやケーキは、おすすめのグルテンフリー食材です。最近は、さまざまな種類の米粉パンが販売されており、グルテンフリー生活を楽しむ手助けとなっています。

グルテンフリー食品の需要が高まっているため、米粉パンや米粉のケーキは、市場で増加傾向にあります。米粉は小麦粉よりも消化がよく、あっさりとした口当たりながら、食感がモチモチしていることが特徴です。また、米粉はアレルギー反応を引き起こしにくいため、小さな子どもから大人まで安心して食べられます。

米粉パンや米粉のケーキは、コンビニエンスストアや専門店で手軽に購入可能です。自宅で簡単に作れるレシピも豊富にあるため、家族全員でグルテンフリー料理を楽しめます。

米粉と小麦粉の違いについては「米粉と小麦粉の違いとは?違いを知って食生活をより豊かにしよう」で解説しています。あわせて読んでみてください。

3-3:蕎麦粉を使った食材

蕎麦粉は、グルテンフリーの食材です。とくに蕎麦粉だけで作られた十割そばは、小麦粉を一切使用していないため、完全なグルテンフリーの料理です。

ただし、市販のそばは風味や食感を調整するために、小麦粉を加えている場合があります。そのため、蕎麦粉を使った製品を選ぶ際には、表示されている情報をよく確認しましょう。

蕎麦粉を使った料理には、そば以外にもさまざまなバリエーションがあります。蕎麦粉を水と混ぜ合わせた生地からは、クレープやパンケーキなどが作れます。

蕎麦粉を使ったお菓子も人気が高く、蕎麦クッキーや蕎麦スナックなどはグルテンフリーのおやつとして楽しめるでしょう。

3-4:グルテンフリー食材

市販のグルテンフリー製品も、上手に利用しましょう。パスタやビスケットなど、グルテンフリー専用に作られた食材は、専門店やインターネットの通販サイトなどで購入できます。日本でもグルテンフリー食材への関心が高まっており、さまざまな種類の製品が手に入るようになっています。

新しい味わいや食文化を発見できることもあるので、グルテンフリー食材を積極的に取り入れてみてください。

4:まずはグルテンを多く含む食材を抜くとこから始めよう

グルテンフリー生活は、一度にすべてを変えるのではなく、少しずつ始めてみることをおすすめします。なぜなら、これまでの食生活をがらりと変えてしまうと、かえってストレスになる可能性があるためです。

まずは、グルテンを多く含む食材を食べる頻度を少なくすることから始めてみましょう。

まとめ

グルテンフリーの生活を送るうえで、食材の選択はもっとも重要です。まずは、小麦を含む食品と調味料を避けましょう。小麦由来の成分を含む化粧品や日用品も、注意が必要です。

次に、小麦を含まない食材を選びましょう。米や魚、肉、豆類、野菜、果物など日本料理で使われる食材の多くは、グルテンを含みません。米粉や蕎麦粉、そのほかの市販されているグルテンフリーの食材も上手に使いましょう。

グルテンフリー生活は、食生活全体の見直しが必要です。しかし一歩一歩、確実に進めていけば、より健康的な生活を送れます。自分の体にとって最適な食材を選び、バランスの良い食事を心掛けていきましょう。